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「便利屋」になるのを避けるべきか 〜私のフリーランス仕事術〜

独立開業する人へのアドバイスとして、「便利屋になるな」というようなことが書かれているのをよく目にします。

私はむしろ、フリーランスとしては(ある条件のもとでは)便利屋になることにはメリットがあると考えています。

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サービスの「メニュー」は必要。でも固執しない

最初から「なんでもやります!」というのはよくありません。「便利屋になるな」というアドバイスも、たいていはそういうことを言っているのだと思います

まずは自分の売り物は何かをよく考え、それをお客さんにわかるように表明する。それができないと、メニューがなくて「頼まれれば何でも作りますよ!」というレストランみたいな状態です。本当に注文に合わせてなんでも作れて、どれも美味しいという評判がたてばお客さんもつくかもしれませんが、知名度も何もない新規オープンの店だったら、あえて入ろうとするお客さんはほとんどいないでしょう。

フリーランスとして仕事を始めるときも、「◯◯というサービスを提供します」というメニューは必要です。ただ、それに固執しすぎるのはもったいない。

仕事をしていると、「ついでにこれもお願い」「こういうことできないかな?」とメニューにないものも頼まれるようなことがあります。こういうときに、「それは私の仕事ではないので」と断ってしまうのではなく、あえて「便利屋」になってみても良い場合があるのです。

断ったほうが良いケース

ただ、やっぱりなんでも引き受ければよいというものではなく、断ったほうが良いケースもあります。

それは、「自分がやったらマイナスになること」を頼まれたときです。

例を挙げると、こんな場合。

  • 自分にはできないこと、苦手なこと。
    (できるようにするための学習コストや時間を自分が持ち出すことになる。結局うまくいかなくてお客さんにも損失が出たりする)
  • 対価に見合わない。
    (そのための追加費用をもらえたり、契約している対価の範囲内でできる程度のことであれば良いが、そうでなければ自分が損をする。将来的にもタダでやってもらえると思われてしまう)
  • 必要なリソースが揃っていない。
    (スキルとしてはできるけれど、お客さんから必要な情報が十分開示されていなかったり、それをするための十分な時間が確保されていない場合、結果に責任が持てない)
  • 他に適任者がいる、顧客自身がやった方が良い。
    (他の人や会社に頼んだ方が速くて安かったり、後々のことを考えるとお客さん自身でできるようにしておいた方がよい)

つまり、引き受けると自分が損をしたり、お客さんにとってもデメリットが生じそうな場合は、断るか、可能な場合は内容の調整をします。

調整というのは、例えば「対価に見合わない」場合は、「やりたいのはやまやまですが、今の契約の範囲内では無理です。別途お見積りさせてもらえますか」と相談する、「顧客自身がやった方が良い」場合は、「毎月必要な作業なので、社内でできた方が面倒でないですよ。マニュアルを作りましょうか?」と言ってみるというようなことです。

「便利屋」になるメリット

断ったほうが良いケースを逆に考えると、「自分がやった方がいろいろうまくいく」と思えれば引き受けるべし、ということになります。

それによって、以下のようなメリットが生まれます。

仕事を頼みやすく、オトクな存在になれる

よっぽどの大御所でない限り、「仕事を頼みづらい相手」と思われるのは損です。お客さんの要望に柔軟に対応することで、次回以降も「あの人に相談してみようかな」と声をかけてもらえる確立が高くなります。

また、お客さんにとってはすでに一緒に仕事をしている人に「ついでにこれも」と頼むのと、別途発注先を探して頼むのとでは、かなり手間が(場合によってはコストも)変わってきます。一人の人に複数の仕事をセットで頼めるというのは、オトクなことなのです。

「オトク」ということで言えばもうひとつ、発注先が会社組織の場合に「ついでにこれも」と頼むと、そのために別の担当者がアサインされることがあります。営業窓口はひとつでも、関わる人数が増えるために予想外にコストが跳ね上がったり、新しい担当者に要望がうまく伝えられずに期待はずれな結果になることがあり得ます。相手がフリーランス(一人の人間)の場合、そういった追加コストやリスクがないという、フリーランスならではのオトクさもあります。

新しい価値(メニュー)を発見・試行できる

お客さんの様々な要望は、自分では気付かなかった需要に気付くきっかけになります。そしてその要望に応えてやってみるという経験は、新しいメニューの試行にもなります。リクエストしてくれたお客さんがモニターになってくれているようなものですね。

やってみてうまくいき、自分の新しい売りになると感じれば、メニューに追加していけばよいのです。

こういう場合、単品として追加するよりは、もともと用意していたメニューと組み合わせてセットメニューにするほうがより価値のあるものになると思います。「◯◯というサービスを提供します。セットで△△もお付けしますよ」というものが、他にはあまりない痒いところに手が届くセットであれば、それが強力な武器になるかもしれません。

「◯◯で食べていくぞ」と決意してなったフリーランスでも、環境や顧客のニーズ、自分の経験に合わせてサービスメニューは常に見なおしていく必要があります。その視点をもつために、あえて「便利屋」を厭わず柔軟に仕事をしてみることはとても良いことだと思います。