「子連れ出勤」を知ってますか?
最近「すごいな〜」「ステキだな〜」という人との出会いは多くあるのですが、久しぶりに「すごい」「ステキ」だけじゃなく「うわぁ、こんな風になれたらいいな」と憧れてしまう人に出会いました!
それはモーハウス代表の光畑由佳さんです。
私は寡聞にして知らなかったのですが、世の中には「授乳服」というジャンルの服があり、光畑さんはそれを15年前に初めて作った方。
最近は授乳室を備えるデパートやショッピングセンターなども、ずいぶん増えています。だけど、赤ちゃんがお腹をすかせて泣きだしたときにそういう場所がすぐ見つからない場合もあるでしょうし、乳児を連れての外出は覚悟がいるものだと思います。
モーハウスの商品は、授乳室に行かなくても人のいる場所で、人に胸を見られることなしに赤ちゃんにおっぱいをあげられる、お母さんのお出かけをあと押しするとても便利なものなのです。
その光畑さんのお話を、「センパイを囲む会」という勉強会にてじっくり聞かせていただきました。
起業の話かと思いきや…
モーハウスとその商品「授乳服」について、上に書いたことくらいは一応予習していた私。
女性ならではのアイデアでの起業の話は面白そうだ、くらいの軽い気持ちで参加した勉強会でしたが、光畑さんのお話は、私の期待をはるかに上回るものでした。
商品の開発やマーケティング、企業経営のノウハウの話をされるのかと思っていたのですが、そこで語られたのは、「新しい働き方」と「仕事の作り方」のこと。
これって、まさに私の興味にドンピシャで、かつかなり目からウロコが落ちる話だったのです。
子どもと「一緒に」働く
モーハウスは、「子連れ出勤」ができる会社です。
会社に託児所があるということではなく、子どもと一緒に出勤し、子どもを抱っこしたまま、あるいはオフィスの中に寝かせたりハイハイさせたりしながら働くのです。
えーっ、それで仕事できるの!?とびっくりしませんか?
光畑さんいわく、十分できるし、メリットも多いのだそう。
それがどのようにして可能なのか、 メリットとは何なのかは、ご著書の『働くママが日本を救う! ~「子連れ出勤」という就業スタイル~ 』に詳しく書かれているので、ぜひ読んでみてください。
そもそも光畑さんは二番目のお子さんがゼロ歳のときにモーハウスをスタートさせ、自宅で子育てしながらほとんど一人で仕事をしていたそう。
それから少しずつ、同じように小さい子を持つお母さんたちに仕事を手伝ってもらうようになり、やがてモーハウスが法人化する際に今まで手伝ってくれていたお母さんたちがスタッフになり、自然に子連れ出勤が始まったのだそうです。
そう言われてみると確かに、ボランティアや地域、PTAの集まりなんかだと、小さな子どもを抱っこしたお母さんが混ざっていても不思議ではないし、農家や家族経営のお店なんかも、仕事の場に子どもがいるというのはよくあること。
組織が「会社」になったとたん、 仕事の場に子育てをもちこまない、というのが一般常識になっているんだなぁ、ということに気付かされます。
「イノベーションに対する最高の賛辞は、どうして自分は気がつかなかったのだろうといわれることである」とドラッカーは言っているそうですが、これってまさにイノベーション。待機児童のこととか、ワークシェアリングとか、いろいろな課題が緩和できる、働き方革命ではないかと思いました。
歩きながら考える
「子連れ出勤」のことにびっくりすると同時に、私は光畑さんの「仕事の作り方」にとっても共感し、かっこいいなぁ、と思いました。
「授乳服」はご自身の体験から必要性を感じて生み出されたものですが、自分用に作ったついでに人にも、ということではなく、最初から売ることを考えて作ったのだそう。
でもこれで儲かるとは考えていなかったし、モーハウスをずっと続けて大きくしていこうという目標があったわけでもなかったようです。
最初の動機は、授乳服というものを通して、辛い育児のイメージが変わるような情報発信をしたいということだったとおっしゃっていました。
私は今のところ起業には興味がないのですが、その時々で、これこそ自分がやるべきだと思うことがあれば、それに真剣に取り組みたいと思っています。
光畑さんは「歩きながら考える」とおっしゃっていましたが、まさにそういうやり方が理想です。まずは動き出してみる、だけど全力疾走ではなく、歩く速度で考えながら、その都度良いと思うことをやっていく、モーハウスが15年続いているのはその結果なんだな、と感じました。
もうひとつ印象的だったのが、最初の商品の作り方。
二番目のお子さんを産んで半年もしないうちに授乳服の販売を始めたと聞いて、そのスピード感にびっくりしたのですが、被服学科を卒業されている光畑さんは、まずは自分でサンプルを作ってみるところから始めたのだそう。
このお話を聞いて、そういえば、自分が専門学校でWeb制作を学ぼうと思った動機のひとつは「なにか新しいことをはじめるときは企画書を書くよりもプロトタイプを作ったほうが話が速い」と考えたことだったことを思い出しました。
もう一度初心に戻り、感受性を磨いてフットワークを軽く、歩きながら考えていきたいと思います。
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Day:2012.09.07