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フリーランス=ノマド、じゃないんです

昨日の晩、Twitterで@kara_dさんがつぶやいた「ノマドとフリーはあまりいっしょくたに語らないほうがいい気がしてる。」をきっかけに、フリーランスの人、元フリーランスの会社員の人、将来フリーランスになることを考えている人などが、現在の働き方を選んだ経緯なんかを色々つぶやいていました。
そこに登場した人たちだけでも、働き方に関して色々な志向があるんだなぁ、というのが見えてとっても面白かったです。

その内容はTogetterにまとめられているので詳しくはそちらを見ていただくとして、今日は@kara_dさんの最初のつぶやきに触発されてフリーランスとかノマドとかコワーキングとか起業家とか、ごっちゃにするな!という話。

よくある混乱

私は言葉の定義があいまいだったり、ちょっと雰囲気が似ている言葉がごちゃまぜに使われていたりするのが気になってしまうタチでして、最近は「ノマドワーク」と「コワーキング」がごちゃまぜにされていたり、「ノマド=フリーの人の働き方」といった前提で会話が進んでいたりすることがとっても気になります。

また、自己紹介で「個人で仕事してます」というと「すごいですね。社長ですか!?」「起業したんですか?」なんて言われ、「いえいえ、会社経営をしているわけではありません、個人事業主ですけど」 という返答をすることがよくあります。
これは私の自己紹介の仕方があいまいだからであって、相手が言葉の定義を間違えているという話ではないのですが…。

これらのことで感じるのは、いわゆる従来のサラリーマン的働きかたから外れるものは、すべて一緒くたに見られがちなんじゃないか、ということです。
乱暴な言い方をすると、会社に所属していない人は、みんなベンチャー企業を立ち上げて、ノマドな働き方をしていて、最近ではコワーキングなんていうのもやってるらしい…、なんて思われているんじゃないかという…。

「フリーランス」と「ノマド」がセットで語られている

タイトルに書いた「フリーランス=ノマド」という認識は、かなり浸透してしまっているように思います。

たとえばこの記事。
最近「ノマド」ってコトバが嫌いになってきたオイラは少しオッサンなんだろうか。 | impresario
この人が「ノマド」というコトバが嫌いになってきた原因は「ノマド」そのものがどうこうということではなくて、「ノマド」が語られるときに「会社を飛び出すこと」や従来の雇用形態を否定することがセットになっているからなんですよね。

特定のオフィスではなく、様々な場所を自由に移動しながら働くスタイルを「ノマド」と表現したのは、佐々木俊尚さんが最初だと思います。
仕事するのにオフィスはいらない』という本が出たのは2009年のことでした。
それから1年もしたら「ノマド」という言葉はかなりポピュラーになり、今では普段はオフィスで働いている人でも「明日はノマドの予定」なんて使い方をしているのをよく見かけます。

公共空間の通信環境が整ってきて、ノートPCやタブレットなど持ち歩いて使えるデバイスが増え、仕事に使えるWebサービスも充実してきた今、外にいるときに仕事をするというのはそれほど特殊なことではありません。
固定のオフィスを全く持たないという狭義の「ノマドワーカー」は少ないかもしれませんが、時々外で仕事することも「ノマド」と言うなら、それはフリーランスのためだけの働き方ではないはず。
営業の人が出先で日報を入力するとか、記者が取材先で記事を書いて会社に送るとか、ありますよね。
逆にフリーランスだって職種や作業の内容によっては、どこでも仕事というわけにはいかないケースもたくさんあるのです。

「どんな組織で(あるいは組織外で)どんなポジションで働くのか」ということと、「どこでどんなスタイルで働くのか」ということがごっちゃになっているのが混乱の元!ということで、その辺りを整理して図にしてみました。

働くステージ・ポジションと、働く場所・ワークスタイルを分けて考える

働くステージとポジション

上の図は、「自分にはどういう企業、職業が向いているんだろう?」というように、組織や仕事の適性を考えるときに使いやすい分類を考えてみたものです。
なので、必ずしも法的な分類に即しているわけではありません。

例えば会社で働くと一口に言っても、大企業が合う人と小さな会社が合う人は違うし、同じ大企業を希望していても「雇用されること」を目的としている人と、その会社の看板を利用して仕事したいとか、経営メンバーを目指したいといった目標をもつ人では全然志向が違います。
「雇われない働き方をしたい」という場合も、個人で出来る範囲の仕事をしたい人と起業して経営をしたい人は全く違います。(さらに、同じ「起業」でもスモールビジネスを続けていくのか、ベンチャー企業として激しい競争を勝ち抜いていこうとするのかは全く違う。それについてはこの記事を大変面白いです。→ちょっと待て、そもそも「ベンチャー」ってのはなぁ・・・(導入))

で、上の図では「所属する組織の大きさや形態(ステージと表現しました)」を横軸に取り、「どんなポジションで」というのを縦軸にとりました。

「積極的フリーター・派遣社員」が横軸に入っていることに違和感があると思いますが、個人で渡り合っていくということは望んでいないけど、特定の組織に固定されたくない(つまり「組織を選ばない」)という意味で入れました。
例えば、やりたいことは他にあって、その資金稼ぎのためにアルバイトをしている、といったケースです。
いつかは正社員になりたい、と思いながら大企業で派遣社員をしている場合は、左上の「大きな組織」の中の「従業員」に当てはまります。

働く場所とワークスタイル

こちらは組織の大きさにかかわらない分類です。
例えば水色の「事務所」というのは大企業であれば自社が保有していたり借りているビルのオフィスでしょうし、フリーランスでもレンタルオフィスの一室(あるいは一席)を借りているケースがあります。

「シェアオフィス」と「コワーキングスペース」の分類は微妙ですが、所属が別の人が同じ空間を共有するオフィスが「シェアオフィス」、その中で特に利用者同士のコミュニケーションを重視するものは「コワーキングスペース」 かな、と考えました。
また「コワーキングスペース」 はレンタルオフィス内に限らず、一時的に誰かの家に集まって一緒に仕事しよう、ということがあればその場を「コワーキングスペース」と呼んでいいのではないかと思います。

「ノマドワーク」というワークスタイルは、固定的なオフィス以外で働くこと、と捉えると上の図のかなり広い範囲をカバーします。
会社の事務所でも、人の会社を訪問してそこでちょっとデスクを借りて仕事、というのは「ノマド」ではないでしょうか。
「コワーキング」は「人と一緒に」という要素があるので「ノマドワーク」よりは範囲が狭いです。

あまり話題にのぼりませんが、フリーランスでも、定期的に人の会社のオフィスで働く「常駐」または「半常駐」の契約をしている人がいます。
また、最近では社員が在宅勤務をできる制度を整備している会社も増えてきているので、「自宅」で働くのはフリーランスに限りません。
「常にオフィス」でも「常にノマド」でもなく、いくつかのワークスタイルが混ざった形で働く人がこれからは増えるのではないでしょうか。

組み合わせはひとそれぞれ

こんな感じで、「働くステージ・ポジション」と「働く場所・ワークスタイル」は別の次元のものとして捉えると、その組み合わせの可能性は様々です。
所属している組織や仕事の内容の制約があって、どんな組み合わせでも選択可能、という訳にはいかないでしょう。
でも、自分が働きやすいのはどんな組み合わせなのかを考えてみるのは、普段の仕事の仕方の振り返りにもなっていいと思います。

 

(2012.4.20 追記)
その後、「ノマド」に関する色々な議論を目にして、ここで書いたものよりも広い意味で「ノマド」を捉えることが一般的になっていることが分かりました。
そんなわけで、この記事を書きました >>フリーランス=ノマド、も定義次第… 

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