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企業からみた「フリーエージェント社会」

前の記事リアルにやってくる「フリーエージェント社会」の続きです。

「フリーエージェント社会」の到来については、フリーでやりたい、やっているという人だけでなく、企業で働いていこうと考えている人にも意識してほしいことです。
それには2つの理由があります。

フリーエージェントと手を組む

信用力の高い法人でないと取引できないというルールがある企業も多いと思いますが、今後はフリーエージェントをいいパートナーにしていくことも重要になってくるでしょう。

これだけ変化が速く、また顧客のニーズが多様化している時代です。特定領域の専門性と機動性という点では、大きな企業よりもフリーエージェントの方が強みがあったりします。

また、会社を辞めてフリーエージェントになったOBにも、社員時代に培った経験を活かして会社の力になってもらうことができます。
社員という身分より自由な立場を選んだのだとしても、やっていた仕事そのものへの情熱があるのであれば、良いパートナーシップを築いていける可能性が高いです。

ですから企業で働く人は、自分の仕事を成功に導くパートナーがいるかもしれないことを意識して、フリーエージェント達の動向を見ておくのが良いのではないかと思います。

フリーエージェント的な働き方は企業にも

企業で働く人が「フリーエージェント社会」を意識して欲しいもうひとつの理由は、フリーエージェントたちをこれからの働き方や生き方のサンプルとして見ることができるからです。

フリーエージェント社会の到来』を書いたダニエル・ピンクは、後に『モチベーション3.0』という本を出しました。
この本で説明されている「人々が働く動機が変化してきている」ということは、多分『フリーエージェント社会の到来』を書いているときから強く感じていたのだと思います。

ピンクは『フリーエージェント社会の到来』の中で、フリーエージェントの労働倫理を構成するのは「自由」「自分らしさ」「責任」「自分なりの成功」の4つであると書いています。
私も、この4つをとても大事な要素だと感じます。
今はこれらを特に重要に感じる人たちがフリーエージェント化していっている、という状況なのでしょうが、 そうでない人でも、この4要素を大事にしたいと感じる人は増えているのではないでしょうか。
だから『モチベーション3.0』が出てきて、企業内においてもいかに動機づけするか、が改めて議論されるようになったのだと思います。

また『フリーエージェント社会の到来』の中では仕事の時間とそれ以外の時間、仕事空間と生活空間の区別がゆるやかに融合した生き方が描かれています。
日本でも「ノマドワーキング」というスタイルを実践する人が増えています。
実践者は、今の段階ではフリーエージェントである人がほとんどでしょうが、そのうち会社員でもそういう働き方を求める人が増えるし、企業はそれに対応していくべきだと思います。
9時から5時まで会社にいる、ということが必ずしも成果につながらない種類の仕事が増えているし、これからの社会人の生活は親の介護や子育てや地域やボランティアの活動をしながら仕事ができることが求められる、そう考えると会社員でも「ノマド」的働き方ができることが求められるからです。

自由で生産性の高い働き方をするには組織に所属しないほうがいい、という意見は一部は真理かもしれません。
でも、個人の方が変化を取り入れやすいから先に新しいスタイルに移行しているだけで、長期的には組織に所属していてもそういう働き方ができるようになっていくだろう、と私は考えています。
それが、企業の人はフリーエージェントたちの働き方や生き方を、少し先を行くサンプルとして見ておくと良いと考える理由です。

新しい形の組織が生まれてきている

先日『だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル 』という本を読みました。

これまでの不動産屋とは違った目線で、万人受けはしないけれどある種の人々にはグッと来る不動産を見つけて紹介する「東京R不動産不動産」。
彼らは本のタイトルにある通り、「フリーエージェント」という働き方を取り入れた組織運営をしています。
東京R不動産の仕事する個々のメンバーは、会社員として雇われているのではなく、個人事業主として会社と「契約」をしているのです。

契約上、 「東京R不動産不動産」のメンバーとして不動産の仲介という仕事をするけれど報酬は成果と連動していて、仕事をやるもやらないも個人の自由と責任において任される、という形態。
はたしてそれでうまくいくのか?という疑問に対して、なぜ、どうやってうまく行っているのかを、この本では分かりやすくおもしろく伝えてくれます。

それから、以前仕事で少し関わることのあった「ドラフト」という会社さんからは、大きな組織改革のお知らせをいただきました。
エース級の6人のアートディレクターが独立して5つの会社を立ち上げ、ドラフト以外の仕事もしつつドラフトとのパートナーシップを続けていく、名付けて“DRAFT CREATIVE FRANCHISE SYSTEM”というしくみを始めたそうです。
「5つの会社はあくまでも独立した組織ですが、DRAFTにも属しています。
プロ野球機構にフランチャイズ契約をした、ひとつひとつの球団と考えて頂ければ
おわかりだと思います。」とのこと。

『フリーエージェント社会の到来』の最終章には、「ビジネス、キャリア、コミュニティの未来像」として2012年の企業とフリーエージェントの関係を予想した描写が出てきます。
そこで描かれているのは、組織の形態が一握りの巨大な多国籍複合企業と小企業・フリーランスに二極化し、中規模の企業は淘汰されている、という世界。
実際の2012年はそこまでダイナミックに変化していないかもしれませんが、上の2つのような、組織とフリーエージェントの関係性の色々なバリエーションが出てくるんじゃないでしょうか。
私も、来年はフリーエージェントならではのバリューを出せるように頑張っていきたいな、ということを考えた年の瀬でした。

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